変形性膝関節症

変形性膝関節症

最近、担当する患者さんに多いのが変形性膝関節症の方で、
「歩くと痛い!」
「起き上がりが痛い!」
「正座ができない!」
といったことをよく問診で伺います。
今回の症例報告は、そんな変形性膝関節症でお悩みの方の症状経過です。

主訴・本日の状態

右膝の痛み。
起き上がりに痛む。
膝の内側と脛の外側にとくに感じる。

性別:女性。
年齢:73歳。
岸和田在住。
主婦。
以前は製菓業。

初来院。

施術者の見解 治療内容

膝は最大伸展と最大屈曲ができず、膝部内側烈隙を押すと圧痛がある。
殿部、大腿四頭筋の柔軟性不足も触診で感じられる。
下腿三頭筋起始部にも圧痛があり、猫背姿勢のために前傾姿勢を取るために負担が掛かっていると思われる。
姿勢分析は猫背姿勢、反り腰。
変形性膝関節症として治療をしていく。

殿筋と大腿四頭筋の弛緩とストレッチを主体に腰回りと脊柱起立筋など姿勢筋をメインに弛緩していく。
足関節の関節可動域が狭く、歩行時に膝に対して負担をかけているので、足関節のけん引とストレッチで関節可動域を拡大してく。
カイロベッドでの骨盤矯正と腰を強制上下運動をさせてけん引していくフリクションで腰部の筋肉群を伸展していく。

治療計画

治療後のペインは消失していたので、次回人の来院時にどれだけの期間、痛みがなかったかを確認して、治療計画を練る。
下腿に対してはお灸も考え中。

2回目

膝の痛みは感じなくなり、良好とのことで根本的原因である猫背姿勢と反り腰の矯正をメインに施術していく。
猫背により、巻き肩がひどく、肩のハリと肩甲骨のアライメントが正常な角度より逸脱しているので、それに対しての矯正も始める。
冷え性もあるので足湯治療も追加する。

6回目

初診時の治療から良好であった膝の痛みが少し出だした。
ちょうど、1週間ほどが経過している。
大腿四頭筋を構成する内側広筋の弛緩と股関節の柔軟性に加えて、吸玉療法と灸療法をしていく。
吸玉療法は背臥位で腰部の脊柱起立筋を中心に中殿筋、膝裏の委中、下腿部にある承筋、承山にも抜缶していく。
灸療法では伏臥位で膝周りにある血海、梁丘、内膝眼、外膝眼と陰陵泉、足三里、三陰交、踵にある女膝の経穴にお灸を据えていく。
本人の希望により膝上の大腿直筋の走行部にも吸玉を抜缶する。
痛みがあり、阿是穴という視点では痛みを取る上で有りではないかと考える。
臨床的には変形性膝関節症の患者にそこの筋肉に吸玉をしたことがなかったので、次回の問診が興味深い。

吸玉療法で抜缶した経穴
腎兪:足太陽膀胱経に属する経穴で、第2腰椎棘突起から指二本分移動した左右にあります。
筋肉で考えると脊柱起立筋の走行部と被ってます。
適応・効能としてはED、頻尿、生理不順、足腰の怠さと疼痛など生殖器や泌尿器疾患、とくに腰痛にはよく使われる経穴です。大腸愈:足太陽膀胱経に属する経穴で、第4腰椎棘突起から指二本分移動した左右にあります。
大腸愈も脊柱起立筋の走行部と被ってます。
適応・効能は大腸・小腸疾患、ダイエット、便秘、腰の神経痛(椎間板ヘルニアなど)、下痢に効果があるとされています。

秩辺ちっぺん:足太陽膀胱経に属する経穴で、正中仙骨稜第3仙椎棘突起の指二本分移動した左右にあります。
筋肉では大殿筋、中殿筋あたりです。
適応・効能は腰痛、仙骨部痛、下肢麻痺、陰部痛、痔疾によく使われる経穴です。

環跳かんちょう:足少陽胆経に属する経穴で、側臥位で股関節を屈曲したときに大転子の前上方陥凹部にあります。
適応・効能は腰痛と股関節痛、下肢麻痺、ギックリ腰によく使われています。

委中いちゅう:足太陽膀胱経に属する経穴で、膝裏の横しわの中央にあります。
適応・効能は腰痛、坐骨神経痛、腰の痛み、膝関節炎などで腰から足に出る症状では必ずと言っていいほど使われる経穴です。
鼻血にも効くとされています。

承筋:足太陽膀胱経に属する経穴で、腓腹筋のもっとも膨らんだところの中央にあります。
適応・効能は下腿痛、膝の痛み、アキレス腱炎に効果があるとされています。

承山:足太陽膀胱経に属する経穴で、アキレス腱に上方から腓腹筋の間を押しながら上がっていき、指の止まるところにあります。
適応・効能は腰背部の痛み、下肢のこむら返り、痔疾、便秘、鼻血、腹痛に効くとされています。

阿是穴:不定穴ともいい、名前や位置は特定されていません。
患者さんが患部を押された時に痛みの反応が現れたり、またしこりがあった場所を阿是穴と呼んでいます。

灸療法で使った経穴
血海:膝蓋骨の内側の縁を指3本上がったところにあります。
適応・効能は冷え性、生理不順、生理痛などの婦人科疾患に効果があるとされています。

梁丘:膝蓋骨外上角から指3本上がったところにあります。
適応・効能は胃痛、膝腫などに効果があるとされています。

内膝眼、外膝眼:膝蓋骨のすぐ下の内側。外側のくぼみにあります。
適応・効能は膝痛に効果があるとされています。

陰陵泉:脛の内側を膝方向に触れていった時に、太い骨に当たって指が自然に止まるところにあります。
適応・効能はむくみ、膝痛に効果があるとされています。

足三里:脛骨を下から触れていったときに骨の突起に当たる場所から指1本分外側にあります。
適応・効能はむくみ、慢性消化器疾患、自律神経失調症、総腓骨神経麻痺に効果があるとされています。

三陰交:内果から指4本ほど上にある、骨のすぐよこにあるくぼみにあります。
適応・効能は消化不良、生理痛、蕁麻疹に効果があるとされています。

女膝じょしつ:奇穴で経絡には属さず、踵でちょうど足裏と足の表の境目になるあたり、皮膚の色の変わるあたりにあります。
適応・効能は膝痛、歯槽膿漏に効果があるとされています。

治療計画

次回の問診結果を踏まえて決めるが、臨床的にも効果が実証されている療法なので継続して経過を診ていきたい。

同じような症状でお悩みの方は、是非、

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(参考文献:東洋医学 基本としくみ)



(2019年8月22日)



 

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