胸郭出口症候群について。岸和田まちの整体整骨院の考察

肩こりと思っていたら

つい先日のこと。
いつも極度の肩の張りで頭痛に悩まされている患者さんに鎖骨の上に物理療法として低周波を施しているときに、患者さんから片方の指が痺れると言われました。
女性で仕事柄、普段から下を常に見る姿勢のために巻き肩で猫背姿勢の患者さんで、問診では判らなかったが胸郭出口症候群の症状があるのかもと思いました。
肩こりとして処理されて見逃しがちな症状の胸郭出口症候群を改めて自分自身でも見直すいい機会として胸郭出口症候群について綴っていきたいと思います。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは肩こりとして自覚されやすい症状で、腕や肩の運動や感覚を司る神経や血管が何らかの障害を受けて、手の痺れや疼痛、手指の動かしにくさを主情とした病状です。

主になで肩の女性に多いと言われてますが、筋肉を鍛えて上半身がムキムキの男性にも発症しやすいです。
発症する原因のいくつかとして日常生活での動作や姿勢が関連しているとされています。
現代ではスマートフォンの操作時の姿勢から胸郭出口症候群を発症することが多いようです。

すごい肩が痛くていつも億劫なのに、
周りは「ただの肩こりやろ?!」といった目で見てきて、あまり周囲の賛同を得ない病気の1つです。

原因

頚から腕に向かって神経や動脈・静脈が走行していて、それらは胸郭出口と呼ばれる場所を通過します。
ただ、胸郭出口にはいくつかの狭い空間があり、こうした所で神経や血管が圧迫されてしまいます。
その中でも腕神経叢と呼ばれる神経幹と鎖骨下動脈・鎖骨下静脈がもっとも身体に影響を与えます。
胸郭出口症候群を発症しやい狭窄部位として、3か所が挙げられます。

頸から腕に向かって順に、
〇前斜角筋と中斜角筋の間

〇鎖骨と第1肋骨の間

〇小胸筋と肩甲骨の間

こうした狭窄部位で腕神経叢や鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が圧迫を受け、それぞれ斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群と呼ばれており、これらを総称して胸郭出口症候群と呼んでいます。

この他にも頸肋が原因で胸郭出口症候群になることもあります。
頸肋とは先天的に第7頸椎の横突起が異常に発育して肋骨のように頸部の側面まで伸び、また第1肋骨に接する形状のものをいいいます。
これがある人が上肢を後方に伸ばすような背伸びをすると、頸肋の上や前方にある神経や血管が圧迫されて上肢や肩の痺れや疼痛、手指の冷感を訴えることがあり、頸肋症候群と呼ばれています。

症状

筋肉が神経や血管が圧迫するという事は、筋肉が硬くなるということなので、最初に本人が自覚する症状としては肩こりだと思います。
そこから圧迫の加減により神経症状が発露します。
頸や肩、腕にチクチクする感覚や刺すような痛みが症状としては多いです。
また、手指や体幹にもみられることがあります。
神経症状が持続すると、神経が分布する筋肉にも影響して筋力の低下も出てしまいます。
例えば、手の握力の低下や指先を使うことが上手に出来ないといったことが起こりえます。

鎖骨下動脈・鎖骨下静脈の圧迫で血流障害が出ると、皮膚が白くなったり、青紫色になったりします。
そこから感覚障害も誘発されることもあります。

テスト法

胸郭出口症候群と診断するにはいくつかテストをして判断します。
アドソンテスト
患者に座ってもらい、頸を後屈し、その状態から右または左へ回旋して深呼吸してから息を止めてもらいます。
その際に橈骨動脈の拍動が消失するかをみます。

これは頸椎は後屈して患側へ回旋することにより、前斜角筋が引き伸ばされて第1肋骨と前・中斜角筋で構成される
斜角筋三角が狭くなり、その中を通る鎖骨下動脈や腕神経叢が圧迫されやすくなり、この状態で深呼吸を加えると
胸郭が上昇して肋鎖間隙も狭くなるために神経、血管はさらに圧迫されやすくなるのを利用したテスト法です。

モーリーテスト
胸鎖乳突筋鎖骨頭の外縁から1横指半から2横指半、外方にある前斜角筋を鎖骨上縁部で圧迫して、局所の疼痛と
末梢への放散痛の有無を調べます。

健常者なら不快感がある程度ですが、胸郭出口症候群の斜角筋群が緊張状態にある人は圧痛や放散痛を訴えます。

エデンテスト
患者を坐位で胸を張り、肩を後方に引いた姿勢を取らせて、橈骨動脈の拍動の変化を調べます。
このとき症状の誘発または増悪が認められれば陽性とします。

鎖骨下動脈が鎖骨と第1肋骨あるいは頸肋との間隙で圧迫を受けて末梢の血行が障害されるかを見るテスト法です。
患側上肢を後下方に引き下げることで間隙を狭くして橈骨動脈の拍動が減弱または消失がみられたら、胸郭出口症候群
の肋鎖症候群あるいは頸肋症候群を疑います。

ルーステスト
患者に坐位で両肩関節を90°外転・外旋位、肘関節も90°屈曲位をとってもらい、3分間ほど手指の屈伸運動(手のひらをグーとパーにする運動)をしてもらいます。
それにより、上肢の疲労感疼痛が誘発されて、運動が継続できないものを陽性とし、肋鎖間隙での腕神経叢、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈の圧迫を疑います。

胸郭出口症候群の症状は大部分は腕神経叢の圧迫や牽引けんいんによる神経症状です。
このテスト法は肋鎖間隙を狭くした肢位を保持させて、腕神経叢と鎖骨下動脈・鎖骨下静脈の圧迫に伴う症状を再現させる方法です。
患者の陽性率は70%以上との報告があり、健常者での陽性率は1%未満といわれていて、信頼性の高いテスト法です。

アレンテスト
患者に坐位で患側とする側の肩関節に90°外転・外旋位、肘関節も90°屈曲位をとってもらい、橈骨動脈の拍動を触れます。
続いて頸部を上肢を挙げている側と反対方向に回旋させて拍動の変化を調べます。
橈骨動脈の拍動が減弱、または消失したものを陽性とし、斜角筋群による鎖骨下動脈の圧迫を疑います。

アレンテストは神経症状に対する直接的なテストではなく、鎖骨下動脈を圧迫することで血流障害があるかを調べるテスト法です。
胸郭出口症候群の患者の陽性率は高いが、正常な人でも40%近い陽性率があるとされています。
つまり、陰性の場合は胸郭出口症候群でないと判断することができます。

いずれのテスト法も神経や血管が圧迫されやすい姿勢をとることから、圧迫に関係した症状の誘発を確認します。
また、鶏肋の有無を調べるには病院でのレントゲン検査を、ほかの頸椎疾患との鑑別のために頸椎のMRI撮影を促す時があります。

治療

胸郭出口症候群は姿勢の悪さが誘発します。
長時間のスマートフォンの操作で肩が巻き肩になったり、頭が身体より前のめりになって背中が丸まったりしてないですか?
当院では問診後に姿勢分析を行い、それを基に姿勢矯正をしていき、これ以上の圧迫からくる神経症状や血流障害が起きないようしていきます。
肩関節周辺の筋肉の弛緩やストレッチ、トレーニングなども有効です。

また、発症を予防することも大事です。
睡眠不足やストレスとの関連性も示唆されているので規則正しい生活スタイルを確立していきましょう。
重いものを持ち上げることも要因とされています。
例えば、たくさん荷物を詰め込んだリュックサックやカバンなどを日々持つ行為は、胸郭出口症候群を誘発することもありますので身体が傾くほどの荷物は一つのカバンで持たずに小分けにして持ち運びましょう。

同じような症状でお悩みの方は是非、

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(参考文献:整形外科学 改訂第4版、解剖学 改訂第2版、柔道整復学・理論編 改訂第5版、ウィキペディア)



(2019年10月25日)



 

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