筋肉と関節の専門家ブログ

立ったり座ったりで。産後に起こる症状

膝が痛い!

前回のブログで上肢の症状について書きましたが、同じくらい産後の症状で来られるお母さんで訴える主訴として多いのは、膝の痛みです。

「出産前はそんなんなかったのに、子供を産んでから徐々膝が痛くなって、椅子の上からは大丈夫ですけど、地べたや床からの立ち上がりや座ったりするときにめちゃ痛いです。」

・毎日、赤ちゃんを抱っこしながら、お世話のために一日に何度も立ったり座ったり。
・妊娠前よりも極端にバタバタと動き回ることが増えてた。
・以前してた職種は事務職だったので、一日のほとんどは椅子に座って過ごしてた。

といった方が多いので、自分の体重+赤ちゃんの体重も加算された状態でこのような動作を繰り返すと、膝関節に負担がかるのは当然の帰結だと思われます。
また、妊娠中の体重増加も気づかないまま膝関節に負担をかけています。
妊娠中は平常時と異なり、副腎皮質ホルモンという炎症を抑えるホルモンが多量に分泌されます。
ですが、出産後はホルモンのバランスは変化してしまうので、膝の炎症が表面化して痛みが強く出てしますこともあるようです。

もう一つ挙げると、出産による骨盤の歪みから来る変形も考えられます。
こちらについては、以前書いたブログを参照してください。

治療として、物理療法による炎症の除去、炎症から回復期にみられる筋肉の収縮の弛緩などをしていきますが、その治療の期間内でも赤ちゃんのお世話を休憩して治療に専念という訳にはいかないです。
ちょっとマシになって、赤ちゃんのお世話をする日常に戻って、また痛くなって整骨院に来てマシになって・・・。
いつになったら、痛みがなくなんの?ってなりますよね。

痛みを根本的に除去するには、骨盤の矯正と共に膝関節を構成する筋肉群の強化も必要です。

「赤ちゃんのお世話でジムとか通えんし。というか、膝痛いから筋トレとか無理!」

忙しく動き回るお母さんでも、赤ちゃんのお世話の合間にできる簡単なトレーニングやストレッチを岸和田まちの整体整骨院では、一緒に整骨院の内で行い、またお家でもして頂いてます。

・大腿四頭筋トレーニング(クアドセッティング)
①膝の下にバスタオルを丸めて置きます。
②仰向けに横になります。
③つま先をしっかりと上に向けてください。
④膝の裏でバスタオルをしっかりと押し込みます。
⑤この状態を5秒キープしてください。
このとき、膝関節の内側の筋肉が働いていることを感じてください。
膝が浮いたり、身体をそらしたりすると効果はないです。
当院では最初は3回を1セットとして行い、自宅でも時間のある時にしてもらってます。
慣れてきたら、数を増やして最終的には20回を1セットでしていただきます。
効果としては、関節をあまり動かさないで、筋力はたくさん使う運動であるために、関節に変形があったり、痛みがある方でも無理なく筋力が低下しないようにするトレーニングです。
産後の筋力の低下を戻す効果だけでなく、膝関節の靭帯損傷や半月板損傷の手術後のリハビリテーション、変形性膝関節症の方といった痛みや膝の動きの制限のある方にも有効なトレーニングです。

・坐位での膝伸展でする大腿四頭筋トレーニング
①椅子に座り、膝の裏が椅子から指一本でるぐらいに腰掛けます。
②片足の膝を伸ばして、椅子の高さくらいに脚を上げて5秒間保持してください。足首は手前に曲げても伸ばしてもいいですよ。
③脚を静かに下ろしたら3~5秒間ほど休憩し、3回行います。
反対側の脚も同様に行い、慣れてきたら5回、10回と数を増やして最終的には20回を目指します。

大腿四頭筋は内側広筋・外側広筋・中間広筋・大腿直筋の4つの筋肉で構成され、作は膝を伸ばす役割を担っていて、重力に抗して立ったり、歩いたりするときに必要な筋肉ですのでしっかりと動かしていきましょう。

・ハムストリングの椅子を使ったストレッチ
①椅子に浅く座り、背筋をしっかりと伸ばします。
②右脚を伸ばして、右のつま先を天井へと向けてください。
③背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと上体を前傾してください。
④右手で右足のつま先をつかみ、前屈します。そのとき、左手は右膝の上を押さえてください。
⑤できる範囲で前屈し、20~30秒間キープします。
⑥脱力してゆっくりと上体を起こし、①の姿勢に戻ります。
反対側も同様に伸ばしていきます。

ハムストリングは疲労しやすく硬くなりがちな筋肉です。
ハムストリングが硬くなることで、腰の筋肉が引っ張られて腰痛を引き起こし、そこから血行不良となり、腰から下の血液循環が滞って疲労を蓄積しやすくなります。
疲労から足を吸って歩いたり、膝を曲げて歩いたりしやすくなるので、しっかりと緩めて栄養素や酸素が身体全体に運搬される素地を作っていきます。

岸和田まちの整体整骨院では、こういった赤ちゃんのお世話の合間を使って簡単にできる膝構成筋群のトレーニングやストレッチを行っています。

産後の骨盤矯正や赤ちゃんの抱っこから来る諸症状でお悩みの方は是非、

岸和田まちの整体整骨院

までお越しください!

GoogleMAPを活用の方はこちら

を検索!

岸和田まちの整体整骨院youtubeチャンネルで実際の施術の様子を見る事が出来ます。
(参考文献:リハビリテーション医学 改訂第3版)



(2020年2月13日)

家でもしましょう!産後に起こる症状

家でも出来る!簡単なストレッチとトレーニング

当院に来ている患者さんで、産後に起こる症状で多いのは、上肢の痺れや痛み、股関節の痛みに腰痛が上位を占めています。
整骨院に来て、施術を施されて、その時は痛みが減弱したり、消失はするのですが、1週間もすると症状が徐々に出てきます。
日々の日常生活で、正に今、子供が生まれたばかりでお世話に翻弄されていると、すぐに元の痛みのある生活に戻りがちです。

赤ちゃんを1日中抱っこしながら、上の子供たちの世話をする。
掃除に洗濯に食事を作って子供をお風呂に入れて・・・。
旦那もまだ若いから、子供みたいで何かと世話を焼く必要がある。
自分のことは二の次で、気づいたら身体が痛い!
整骨院に予約を入れた日を指折り数えて、来た日はすごい癒されます!
・・・なんてことを施術中によく耳にします。

施術を行って次回の来院時に
「家でもなにか身体をケアするための運動とかしてますか?」
と毎回聞くのですが、そういった方はごく少数です。

患者さんには整骨院に来て頂いて、柔道整復師の施術をしますが我々の手技療法とは痛みを取ることを前提に施術を施すのと共に人間の自然治癒能力を向上させることを狙っていますと説明しています。
つまり、患者さん自身も日々の生活の中に潜む増悪因子的行動を控えて、自分自身でも軽い運動を行い、痛みのない状態を維持するための行動が必要という事です。

「毎日、子供と旦那の世話で時間がないわ。」
とおっしゃるお母さん方に、
「ジムで鍛えろ!」
「ひたすらウオーキング!」
なんて言いません!
就寝前に少しの時間してもらうストレッチやトレーニングをお教えしています。

最も多い症状で、
「腕や手が痺れる!」
といった方に
「鎖骨はがし」や「突っ張り棒」といったストレッチを宿題としてお教えしています。

「鎖骨はがし」
①部屋の壁の角に立ちます。
②角の壁に手と肘を当ててください。そのときに腕と身体は水平です。
③腕を壁に付けてる側の足を一歩、前に出してください。
④そこから壁と反対方向に身体を捻ります。
左右で10秒間行います。
狙いはお子さんの抱っこなどで猫背姿勢になっている肩関節のストレッチです。
負荷の掛かっている大胸筋や三角筋前部繊維が伸展し、肩甲骨が開きます。
また胸鎖乳突筋や僧帽筋も若干伸びます。
神経症状を引き起こしている胸郭出口も拡大するので、腕の痺れにも有効です。

産後の骨盤矯正や赤ちゃんの抱っこから来る諸症状でお悩みの方は是非、

岸和田まちの整体整骨院

までお越しください!

GoogleMAPを活用の方はこちら

を検索!

岸和田まちの整体整骨院youtubeチャンネルで実際の施術の様子を見る事が出来ます。



(2020年2月10日)

骨盤ベルトのついて。岸和田まちの整体整骨院の考察

骨盤ベルトってつけてます?

産後の骨盤矯正をする方にいつもする質問があります。

「骨盤ベルトって持ってますか?」

持っていると答えた方には、

「妊娠中と子供が生まれてからと、骨盤ベルトってつけてます?」

今のところ、当院に来院された方では、妊娠中は着けてたけど、子供が生まれてからの産後で骨盤ベルトを使用していた方はゼロです。

整骨院への来院の目的が、産後の骨盤の歪みから来る腰痛であったり、股関節の痛みであったり、下半身の産後太りやむくみの改善であったりするのですが、それを補正する骨盤ベルトを利用してなく症状を悪化された方がとても多いと感じました。

骨盤ベルトとは?

そもそも、骨盤ベルトとは骨盤の歪みや緩みを矯正する器具を指します。
骨盤ベルトを巻くことによって、出産のために緩んだ骨盤を支えます。

巻く時に気を付けることは、正しい位置につけることで、骨盤の中央部分である仙骨と骨盤の前部の接合部分である恥骨結合、そして太ももの外上方にある大転子(ズボンのポケット手を入れた時に当たる出っ張り)の3点を結ぶラインで巻いてください。

ズレやすいからきつく締めないと落ちるという方は、正しく巻けていないと思われます。
装着後に恥骨のあたりに手のひらがスッと入るぐらいがちょうどいい巻き方です。

骨盤ベルトの役割

①腰痛の予防や改善
骨盤ベルトで骨盤を支えることで、腰回りの筋肉への負担が軽減し、腰痛が出にくくなります。

②股関節痛の予防や改善
妊娠中や産後に足の付け根が痛いという方も多いです。
骨盤の歪みや緩みから恥骨に付着する筋肉に痛みを発症することがあります。

③生理痛の改善
産後を境に生理痛がきつくなる方の原因の1つに骨盤の歪みが挙げられます。
詳しくはコチラをクリック!

④産後太りの予防
出産後に緩んだ骨盤は約半年かけて徐々に閉じていきますが、一度大きく開いた骨盤が元の位置に戻ることは難しく、また日々の赤ちゃんのお世話などで歪みやズレが生じやすくなります。
歪みやズレは下半身太りやむくみ、体型の崩れの原因となるので是非、気にしたいところです。

骨盤矯正によって、骨盤はその時は元に戻りますが、出産のために緩んだ筋肉群が元に戻るのは時間がかかります。
骨盤矯正を行い、インナーマッスルを元に戻すトレーニングをし、さらにその補助として骨盤ベルトを活用するのが痛みのない生活に戻る早道だと考えます。

産後の骨盤矯正や赤ちゃんの抱っこから来る諸症状でお悩みの方は是非、

岸和田まちの整体整骨院

までお越しください!

GoogleMAPを活用の方はこちら

を検索!

岸和田まちの整体整骨院youtubeチャンネルで実際の施術の様子を見る事が出来ます。

(参考文献:解剖学 改訂第2版)



(2020年1月16日)

産後から更年期まで。岸和田まちの整体整骨院の考察

産後にも更年期でも起こる症状

最近、当院でも産後の骨盤矯正を必要とする患者さんが増えてきました。
様々なメディアによる、産後が原因で骨盤が歪むことで起こる症状が世間に周知されてきた証左だと思います。

産後の方々の症例を日々、治療していて感じることに腱鞘炎を患う方が多いことに気づきます。
とくに、ド・ケルバン病とばね指が顕著です。

ド・ケルバン病
手関節背撓側にある橈骨茎状突起と伸筋支帯とで形成される第1区画内を通過する長母指外転筋腱と短母指外転筋腱の狭窄性腱鞘炎です。50歳代と20歳代の女性に好発します。

伸筋腱第1区画部に腫脹や圧痛、熱感、硬結を認め、手関節や第1指の運動痛が有名です。

ばね指
屈筋腱と腱鞘との相対的のサイズの不均衡により発生するMP関節(中指節関節)掌側の狭窄性腱鞘炎をいいます。第1指がもっとも多く、初期は指の運動痛のみであることが多いです。また、PIP(近位指節関節)・IP(母指の指節間関節)関節に疼痛を訴えることもあります。

指の伸展、屈曲の自動運動時に屈筋腱が引っかかって弾発現象をみます。症状が悪化すると、自分では動かせなくなり、他動的に伸展する必要があります。

毎日、赤ちゃんを長時間抱っことすることで痛めたのかなと推察しますが、50歳代前後のお姉さま方も同種の症状を訴えることが多くあることに気づきました。

50歳代前後、更年期症状、または更年期障害で苦しんでいる世代の方もよく腱鞘炎で当院に来られます。
多くがド・ケルバン病とばね指です。

更年期症状・更年期障害
卵巣機能が減退し始め、消失するまでの時期をいいます。一般的に閉経前後の数年間を指しますが、これは個人差が大きく、40代前半に迎える女性もいれば、50代後半になっても迎えない女性もいるにで一概にこの年齢とはいえないようです。

この時期にのぼせやほてりなどのホットフラッシュやめまい、頭痛、全身の倦怠感、不眠などの身体的症状がでたり、気持ちが落ち込みやすい、やる気が出ない、不安症、憂鬱な気分になるといった精神的な症状がみられ、病院に検査に行ってもとくに異常がないものを更年期症状と位置付けています。

さらに、これらの症状が酷くなり、日常生活に支障をきたす場合は更年期障害と位置付けされています。

更年期を迎えると、体内に残っている卵子の数自体が極端に減少するとともに、次第にエストロジェンの分泌が低下します。

これを脳が感知してさまざまな反応を起こすことで、更年期症状を引き起こすと考えられています。

「仕事とかで手を頻繁に酷使します。」
といった話を聞き、そういうものかなと治療をしますが、実は産後と更年期で腱鞘炎になりやすいことには新事実が解明されています。

女性ホルモンであるエストロジェンには、炎症を抑え、靭帯性腱鞘内の腱の動きの滑らかさを保つ作用があり、そのエストロジェンの受容体が靱帯性腱鞘の中にある滑膜性腱鞘といつ部分に存在することが判りました。

エストロジェン
卵胞ホルモンともいい、女性の思春期や月経周期、妊娠・分娩時に関係するホルモンです。
作用は多岐にわたり、
①思春期では女性の副生殖器(恥丘、大・小陰唇、膣前庭、陰核、子宮、膣、卵管)の発育促進、乳腺の乳管を成長させて乳房を大きくするなどの二次性徴を発現させ、また脂肪の沈着部位を変えて女性らしい体型をつくる。②食欲を抑制したり、喜びや怒りの心を増強し、記憶・学習、言語機能を高める。

③子宮体部で子宮内膜の肥厚、子宮頸部で頸管膜の粘液分泌を増加、膣で膣粘膜上皮の増殖・角化を促進する。

④骨では長管骨の成長と骨端線の閉鎖を思春期に起こし、骨吸収を抑制、骨形成を促進、骨塩類を増加させる。

⑤皮膚分泌を抑制し、保温性・弾力性を保持させる。妊娠時には乳頭、乳輪、外陰部の色素沈着を起こさせる。

⑥血管の拡張を起こし、その結果、血圧低下を起こす。抗動脈硬化作用。

⑦血中脂質に対する影響として、HDL-コレステロールの増加、LDL-コレステロールの減少、トリグリセリド(TG)の減少も担っている。

つまり、女性ホルモンが急降下する時期である出産後、排卵時、月経前や低値時である授乳期、更年期では滑らかさが保てずに、腱や腱鞘が腫れてしまい、当たりやすくなることがあります。

もともと腫れが出やすい時期に、子供を長時間抱っこしたり、仕事で手指を酷使して負担が蓄積すれば、腱鞘炎を発症しやすいのも納得です。
中には月経周期に合わせて腱鞘炎の症状が出る人もいるそうです。

産後の骨盤矯正や赤ちゃんの抱っこから来る諸症状でお悩みの方は是非、

岸和田まちの整体整骨院

までお越しください!

GoogleMAPを活用の方はこちら

を検索!

岸和田まちの整体整骨院youtubeチャンネルで実際の施術の様子を見る事が出来ます。

(参考文献:柔道整復学・理論編 改訂第5版、早わかり 解剖学 ハンドブック、生理学 改訂第3版)



(2020年1月10日)

胸郭出口症候群について。岸和田まちの整体整骨院の考察

肩こりと思っていたら

つい先日のこと。
いつも極度の肩の張りで頭痛に悩まされている患者さんに鎖骨の上に物理療法として低周波を施しているときに、患者さんから片方の指が痺れると言われました。
女性で仕事柄、普段から下を常に見る姿勢のために巻き肩で猫背姿勢の患者さんで、問診では判らなかったが胸郭出口症候群の症状があるのかもと思いました。
肩こりとして処理されて見逃しがちな症状の胸郭出口症候群を改めて自分自身でも見直すいい機会として胸郭出口症候群について綴っていきたいと思います。

胸郭出口症候群

胸郭出口症候群とは肩こりとして自覚されやすい症状で、腕や肩の運動や感覚を司る神経や血管が何らかの障害を受けて、手の痺れや疼痛、手指の動かしにくさを主情とした病状です。

主になで肩の女性に多いと言われてますが、筋肉を鍛えて上半身がムキムキの男性にも発症しやすいです。
発症する原因のいくつかとして日常生活での動作や姿勢が関連しているとされています。
現代ではスマートフォンの操作時の姿勢から胸郭出口症候群を発症することが多いようです。

すごい肩が痛くていつも億劫なのに、
周りは「ただの肩こりやろ?!」といった目で見てきて、あまり周囲の賛同を得ない病気の1つです。

原因

頚から腕に向かって神経や動脈・静脈が走行していて、それらは胸郭出口と呼ばれる場所を通過します。
ただ、胸郭出口にはいくつかの狭い空間があり、こうした所で神経や血管が圧迫されてしまいます。
その中でも腕神経叢と呼ばれる神経幹と鎖骨下動脈・鎖骨下静脈がもっとも身体に影響を与えます。
胸郭出口症候群を発症しやい狭窄部位として、3か所が挙げられます。

頸から腕に向かって順に、
〇前斜角筋と中斜角筋の間

〇鎖骨と第1肋骨の間

〇小胸筋と肩甲骨の間

こうした狭窄部位で腕神経叢や鎖骨下動脈・鎖骨下静脈が圧迫を受け、それぞれ斜角筋症候群、肋鎖症候群、小胸筋症候群と呼ばれており、これらを総称して胸郭出口症候群と呼んでいます。

この他にも頸肋が原因で胸郭出口症候群になることもあります。
頸肋とは先天的に第7頸椎の横突起が異常に発育して肋骨のように頸部の側面まで伸び、また第1肋骨に接する形状のものをいいいます。
これがある人が上肢を後方に伸ばすような背伸びをすると、頸肋の上や前方にある神経や血管が圧迫されて上肢や肩の痺れや疼痛、手指の冷感を訴えることがあり、頸肋症候群と呼ばれています。

症状

筋肉が神経や血管が圧迫するという事は、筋肉が硬くなるということなので、最初に本人が自覚する症状としては肩こりだと思います。
そこから圧迫の加減により神経症状が発露します。
頸や肩、腕にチクチクする感覚や刺すような痛みが症状としては多いです。
また、手指や体幹にもみられることがあります。
神経症状が持続すると、神経が分布する筋肉にも影響して筋力の低下も出てしまいます。
例えば、手の握力の低下や指先を使うことが上手に出来ないといったことが起こりえます。

鎖骨下動脈・鎖骨下静脈の圧迫で血流障害が出ると、皮膚が白くなったり、青紫色になったりします。
そこから感覚障害も誘発されることもあります。

テスト法

胸郭出口症候群と診断するにはいくつかテストをして判断します。
アドソンテスト
患者に座ってもらい、頸を後屈し、その状態から右または左へ回旋して深呼吸してから息を止めてもらいます。
その際に橈骨動脈の拍動が消失するかをみます。

これは頸椎は後屈して患側へ回旋することにより、前斜角筋が引き伸ばされて第1肋骨と前・中斜角筋で構成される
斜角筋三角が狭くなり、その中を通る鎖骨下動脈や腕神経叢が圧迫されやすくなり、この状態で深呼吸を加えると
胸郭が上昇して肋鎖間隙も狭くなるために神経、血管はさらに圧迫されやすくなるのを利用したテスト法です。

モーリーテスト
胸鎖乳突筋鎖骨頭の外縁から1横指半から2横指半、外方にある前斜角筋を鎖骨上縁部で圧迫して、局所の疼痛と
末梢への放散痛の有無を調べます。

健常者なら不快感がある程度ですが、胸郭出口症候群の斜角筋群が緊張状態にある人は圧痛や放散痛を訴えます。

エデンテスト
患者を坐位で胸を張り、肩を後方に引いた姿勢を取らせて、橈骨動脈の拍動の変化を調べます。
このとき症状の誘発または増悪が認められれば陽性とします。

鎖骨下動脈が鎖骨と第1肋骨あるいは頸肋との間隙で圧迫を受けて末梢の血行が障害されるかを見るテスト法です。
患側上肢を後下方に引き下げることで間隙を狭くして橈骨動脈の拍動が減弱または消失がみられたら、胸郭出口症候群
の肋鎖症候群あるいは頸肋症候群を疑います。

ルーステスト
患者に坐位で両肩関節を90°外転・外旋位、肘関節も90°屈曲位をとってもらい、3分間ほど手指の屈伸運動(手のひらをグーとパーにする運動)をしてもらいます。
それにより、上肢の疲労感疼痛が誘発されて、運動が継続できないものを陽性とし、肋鎖間隙での腕神経叢、鎖骨下動脈、鎖骨下静脈の圧迫を疑います。

胸郭出口症候群の症状は大部分は腕神経叢の圧迫や牽引けんいんによる神経症状です。
このテスト法は肋鎖間隙を狭くした肢位を保持させて、腕神経叢と鎖骨下動脈・鎖骨下静脈の圧迫に伴う症状を再現させる方法です。
患者の陽性率は70%以上との報告があり、健常者での陽性率は1%未満といわれていて、信頼性の高いテスト法です。

アレンテスト
患者に坐位で患側とする側の肩関節に90°外転・外旋位、肘関節も90°屈曲位をとってもらい、橈骨動脈の拍動を触れます。
続いて頸部を上肢を挙げている側と反対方向に回旋させて拍動の変化を調べます。
橈骨動脈の拍動が減弱、または消失したものを陽性とし、斜角筋群による鎖骨下動脈の圧迫を疑います。

アレンテストは神経症状に対する直接的なテストではなく、鎖骨下動脈を圧迫することで血流障害があるかを調べるテスト法です。
胸郭出口症候群の患者の陽性率は高いが、正常な人でも40%近い陽性率があるとされています。
つまり、陰性の場合は胸郭出口症候群でないと判断することができます。

いずれのテスト法も神経や血管が圧迫されやすい姿勢をとることから、圧迫に関係した症状の誘発を確認します。
また、鶏肋の有無を調べるには病院でのレントゲン検査を、ほかの頸椎疾患との鑑別のために頸椎のMRI撮影を促す時があります。

治療

胸郭出口症候群は姿勢の悪さが誘発します。
長時間のスマートフォンの操作で肩が巻き肩になったり、頭が身体より前のめりになって背中が丸まったりしてないですか?
当院では問診後に姿勢分析を行い、それを基に姿勢矯正をしていき、これ以上の圧迫からくる神経症状や血流障害が起きないようしていきます。
肩関節周辺の筋肉の弛緩やストレッチ、トレーニングなども有効です。

また、発症を予防することも大事です。
睡眠不足やストレスとの関連性も示唆されているので規則正しい生活スタイルを確立していきましょう。
重いものを持ち上げることも要因とされています。
例えば、たくさん荷物を詰め込んだリュックサックやカバンなどを日々持つ行為は、胸郭出口症候群を誘発することもありますので身体が傾くほどの荷物は一つのカバンで持たずに小分けにして持ち運びましょう。

同じような症状でお悩みの方は是非、

岸和田まちの整体整骨院

までお越しください!

GoogleMAPを活用の方は

こちら

を検索!

岸和田まちの整体整骨院youtubeチャンネルで実際の施術の様子を見る事が出来ます。
(参考文献:整形外科学 改訂第4版、解剖学 改訂第2版、柔道整復学・理論編 改訂第5版、ウィキペディア)



(2019年10月25日)

頸椎椎間板ヘルニア。悪い姿勢でもなります。岸和田まちの整体整骨院の考察

頸椎椎間板ヘルニア

前回の寝違えのお話で鑑別が必要な症状として頸椎椎間板ヘルニアについて触れましたので、今回はそのお話を書いてみたいと思います。

概要

変形性関節症の一種で、脊椎の可動域の大きい下位頸椎(Ⅽ₅~Ⅽ₇)に好発します。
頸椎は7つの椎骨という骨で構成されていて、椎骨と椎骨の間には椎間板という軟骨が存在しています。
簡単に言えば、頸椎椎間板ヘルニアとは椎間板の一部が正しい位置から逸脱して、飛び出してしまう疾患です。
比較的にスポーツをする若い世代によくみられる症状だとされています。

症状としては頸部痛、肩こり、腕に痛みやしびれを訴えることが多いです。
重症例では手足の麻痺も引き起こすことがあります。

原因のあれこれ

主に悪い姿勢やコンタクトスポーツなどが原因として多いようです。
筆者も学生時代、柔道の授業で受け身を取りそびれて頸が痛くなり、数日たっても痛みが引くどころか首や肩、腕にかけて神経痛がひどくなり、痺れも強くなってきたので脳神経外科に行くと頸椎椎間板ヘルニアだった経験があります。
患者さんでも特にこれといったスポーツをした覚えはないが専門機関で診断された結果が頸椎椎間板ヘルニアという方が稀にいます。
そういった方の姿勢分析をすると往々にして猫背姿勢でストレートネックという方が多いです。
発症すると、前方からの骨棘・椎間板変性に加えて、後方から黄色靱帯が肥厚して脊柱管や神経根を圧迫します。
この圧迫により様々な症状、例えば、頚椎症性神経根症や頚髄症といった症状を引き起こします。

症状について

経験してるので分かるのですが、本当にその時々で症状の出方が違います。
原因としては、逸脱している椎間板がその時にどの程度周囲の神経を圧迫するかによるからです。
軽い場合では、頸の後ろや肩、うでの痛み・痺れなどが出現します。
まあ、痛いし痺れはありますが日常生活での不便はありません。

これが神経の圧迫が強くなってしまうと運動機能に障害が生じるようになります。
手に力が入らなくなったり、細かい作業が思うように出来なくなったりします。
時には、手足がまったく動かせなくなる重症例もあるそうです。

検査について

頸椎椎間板ヘルニアでは、レントゲン検査やMRI検査、CT検査などの画像検査が推奨されます。
整骨院では出来ませんので専門の医療機関での診断を仰ぎます。
MRI検査では飛び出たヘルニアの状況を詳しく観察できるので、どこをどう圧迫してるのかに特に役立ちます。

治療について

整骨院では保存療法が基本です。
まずは安静が一番大事です。
軽度だと特に装具が必要としませんが、心配なら専門機関で頸椎カラーを購入するのもいいと思います。
その上で、鎮痛効果のある超音波療法や鍼灸治療をしていくと症状は軽減していきます。
頸椎椎間板ヘルニアが進行して運動麻痺症状が強い場合は専門機関での手術が推奨されます。
手術後のリハビリテーションやまだ痛みがある場合は整骨院での後療法をお勧めします。

上記の症状に心当たりのある方、興味のある方は是非、お越しください!

(参考文献:整形外科学 改訂第4版、解剖学 改訂第2版)



(2019年7月11日)



 

予約問い合わせLINE姿勢分析無料